Focal

Focal 使い方ガイド

Focal は、RAW 写真の管理と現像を 1 つでこなす、軽量な Mac アプリです(JPEG・TIFF・PNG・HEIF の写真も管理できます。現像できるのは RAW のみ)。写真は元の場所にあるファイルをそのまま参照し(編集内容はカタログに保存)、元の RAW ファイルに直接変更を加えることは一切ありません(非破壊編集)。

ご利用にあたって: Focal は開発中のソフトウェア(ベータ版)です。写真のファイルやカタログの内容が失われる不具合が含まれている可能性があります。大切な写真は、必ずバックアップを取ったうえでお使いください。 特に、写真を削除する機能(⌥⌃⇧ Delete)は、ディスクからファイルを削除します(「7. 写真を削除する」)。本ソフトウェアの使用によって生じた損害について、開発者は責任を負いません(Apache License 2.0)。

このガイドは、Focal 26.0.1 β に合わせています。機能の仕様の詳細は、設計書(design.md) を参照してください。

目次

  1. はじめに
  2. カタログの管理
  3. 写真を取り込む
  4. 写真を整理する
  5. 現像する
  6. 書き出す
  7. 写真を削除する
  8. キーボードショートカット一覧
  9. 設定
  10. 機能一覧・制限事項
  11. 困ったときは

1. はじめに

画面の構成

┌────────────────────────────────────────────────────────────┐
│ ツールバー: [ 一覧 | 現像 ]            [絞り込み] [書き出し] [ⓘ] │
├──────────┬──────────────────────────────────┬──────────────┤
│ サイドバー │  メイン                           │ インスペクタ   │
│ フォルダ   │  一覧: 写真のグリッド              │ ヒストグラム   │
│ ライブラリ │  現像: 写真 + フィルムストリップ    │ 現像の操作     │
│ アルバム   │                                  │ メタデータ・タグ│
└──────────┴──────────────────────────────────┴──────────────┘

一覧(グリッド)の画面。左がサイドバー、中央が写真、右がインスペクタ

初めて起動したとき

初回起動時には「Focal へようこそ」画面が表示されます。

  1. カタログを作成 をクリックすると、既定の場所(~/Pictures/Focal/Focal Catalog.focalcatalog)にカタログが作成されます(別の保存場所を指定することも可能です)。すでにカタログがある場合は「既存のカタログを開く…」を選択します。
  2. 「フォルダを追加…」で、写真の入ったフォルダを選択します。写真がスキャンされ、グリッドに一覧表示されます。

次回以降は、前回開いていたカタログが自動的に開きます。

初回起動の「Focal へようこそ」の画面


2. カタログの管理

カタログとは

カタログは、写真の一覧と、付与したメタデータ(評価・フラグ・タグ・アルバム)、現像設定を記録するデータベースです。

カタログを新規作成する・開く・切り替える

ファイルメニューから操作します。

操作 方法
新しいカタログを作る ファイル ▸ 新規カタログ…
別のカタログを開く ファイル ▸ カタログを開く…(⌥⌘O)、または Finder で 〜.focalcatalog をダブルクリック

別のカタログに切り替える際は、編集中の現像設定を保存してから新しいカタログを開きます。ウィンドウのタイトルバー(サブタイトル)には、現在開いているカタログの名前が表示されます。

カタログの保存場所は、設定(⌘,)の「カタログ」タブで確認できます。

アップデート時の自動バックアップ

Focal の新しいバージョンでカタログの形式(スキーマ)が変わる場合は、変更前に自動でバックアップを作成します(カタログパッケージ内の catalog.sqlite.v〈旧版〉-〈日時〉.bak)。アップデート後に問題が生じた場合は、このファイルから元の状態に戻せます。なお、古いバージョンの Focal では、新しい形式のカタログを開くことはできません。

フォルダを追加する(ライブラリのルート)

サイドバー「フォルダ」見出しの + ボタン、またはファイル ▸ フォルダを追加…(⌘O)で、写真の入ったフォルダを登録します。

サイドバーの「フォルダ」

追加したフォルダ(ルート)が一覧で並びます(ディスクの絶対パス階層ではなく、登録フォルダを起点として表示されます)。フォルダ内のサブフォルダは、行の左の ▶ をクリックして展開できます。

▼ フォルダ                 +
   ▼ Photos        1,230   ← 追加したフォルダ
      ▶ 2026
   ▶ Archive         (グレー) ← 切断中の外付けドライブや NAS のフォルダはグレー表示(オフライン)
メニュー 内容
再スキャン そのルートフォルダをスキャンし直します
情報を見る… フォルダの情報を表示します(下記参照)
読み込み先にする カード取り込みの保存先に設定します(現在の読み込み先には ✓ が付き、行に ★ が表示されます)
Finder で表示 フォルダを Finder で開きます

フォルダの情報

追加したルートフォルダを右クリックして「情報を見る…」を選択すると、そのフォルダの詳細情報がポップオーバーで表示されます。

フォルダの情報。場所・ディスク・容量・写真の枚数・撮影日などが出る

項目 内容
場所 フォルダのパス(選択してコピー可能)
状態 接続中/オフライン(外付けドライブや NAS が切断されている場合)
ディスク ディスク名、種類(内蔵・外付け・ネットワーク)、ファイルシステム、マウント位置
容量 ディスクの空き容量と全体容量
写真 登録写真の枚数、サブフォルダ数、ファイルが見つからない(行方不明の)枚数
編集・評価あり 現像・★・フラグ・タグのいずれかが設定されている写真の枚数(カタログから外した際に保管対象となる情報の目安)
合計サイズ・撮影日 写真ファイルの合計サイズ、撮影日時の範囲
表示名 サイドバーでの表示名(未指定の場合は実際のフォルダ名)
読み込み先にする オンにすると、カード取り込み時のコピー先になります(★)
場所を変更… フォルダを移動した際やドライブを換装した際に、登録パスを新しいフォルダへ再割り当てします(★・タグ・現像設定は保持されます)

ポップオーバー下部のボタンから、Finder での表示・再スキャン・場所の変更が行えます。「カタログから外す」は誤操作を防ぐため、右クリックメニューには配置せず、この詳細画面の最下部にのみ配置しています。オフラインのフォルダではディスク容量などは表示されず、カタログに記録されているメタデータのみが表示されます。

RAW 以外の写真(JPEG・TIFF・PNG・HEIF)

JPEG・TIFF・PNG(macOS では HEIF / HEIC も)の写真も、RAW と同様にカタログに登録して整理できます。

外付けドライブ・NAS の扱い

変更を反映する(再スキャン)

Focal の外部(Finder など)で写真ファイルの追加・削除・名前変更・移動を行った場合は、再スキャンを実行してカタログへ反映します。

再スキャン時の詳細な挙動:

ディスク上の変化 カタログでの扱い
新しい RAW / 画像が増えた 新規の写真として登録
RAW が消失した(ドライブは接続中) 「ファイルなし」と表示(★・タグ・現像設定は保持)
消失していた RAW が元の場所に戻った 元の写真として復帰
別のフォルダへ移動した 同名・同サイズ・同撮影日時のファイルが 1 枚のみ存在する場合、★・タグ・アルバム・現像設定を引き継いで自動で再リンク
大文字・小文字のみ名前が変更された 同一の写真として認識
ファイル内容(更新日時)が変更された メタデータや画像を再読み込み
フォルダが削除された 写真を含まないフォルダはサイドバーから自動削除(「ファイルなし」の写真が存在するフォルダは保持)

ルートをカタログから外す

ルートフォルダを右クリック ▸ 情報を見る… を開き、下部の カタログから外す… をクリックして、確認ダイアログで承認します(誤操作を防ぐため、通常の右クリックメニューには配置していません)。

カタログ情報・バックアップ・最適化

設定(⌘,)▸ カタログ タブで、現在開いているカタログの情報の確認、バックアップ、最適化が行えます。

カタログ情報

項目 内容
カタログ カタログ名と保存場所
大きさ カタログファイルのファイルサイズ
フォルダ・写真 登録ルートフォルダ数、サブフォルダ数、写真枚数(RAW/RAW 以外)、ファイルなしの枚数、現像設定が存在する枚数
アルバム / タグ アルバム数とタグ数
操作前の安全バックアップ フォルダ解除・統合・最適化の前に自動作成された安全バックアップ(カタログパッケージ内の *.bak)の個数と合計サイズ

バックアップ

カタログ(現像設定・★・フラグ・タグ・アルバム情報など)を定期的に自動複製して保存する機能です。写真ファイルそのものやプレビューキャッシュは含みません。Focal を終了する際にバックアップ処理を実行します(Lightroom Classic と同様の動作仕様です)。

設定 内容
カタログのバックアップ 終了時に毎回 / 1 日ごと / 3 日ごと / 1 週間ごと(既定) / 2 週間ごと / 1 か月ごと / 自動ではしない。「〇日ごと」を選択した場合、前回のバックアップから指定日数以上が経過していると次回終了時に実行されます
終了時に、バックアップするか確認する オンにすると、終了時に確認ダイアログが表示されます。オフにすると、確認なしで自動実行されます
バックアップの前に、カタログを確認する バックアップ実行前にデータベースの整合性を検証します(既定でオン)。問題が検出された場合は処理を中止して警告します
残す世代 直近の 3・5・10(既定)・20・50 個、またはすべて保持。上限を超えた古いバックアップは自動的に整理・削除されます
場所 バックアップの保存先フォルダ(既定は ~/Pictures/Focal/Backups)。内蔵ディスクとは別の外部ドライブなどを指定することで、ディスク障害への備えになります

最適化

「保管している情報」とは、カタログから外したフォルダに属していた写真のメタデータ(現像設定・★・フラグ・タグ・アルバム所属)のうち、まだ別の写真に再リンクされていないデータです。最適化… を実行すると、これらの未リンク情報を完全に消去し、データベースファイルをクリーンアップしてファイルサイズを圧縮します(実行前に操作前の安全バックアップが自動作成され、削除前の確認ダイアログが表示されます)。日常的に頻繁に行う必要はありません。外したフォルダのデータが溜まりカタログサイズが肥大化した場合や、保管データを完全に破棄したい場合にご利用ください。最適化を実行した後は、外したフォルダを再登録しても以前の現像設定などは復元されません。最適化が自動で勝手に実行されることはありません。

キャッシュ

サムネイル画像や、現像画面で一度表示した写真の高解像度プレビューは、ディスク上にキャッシュされます(~/Library/Caches/jp.bekki.focal/)。


3. 写真を取り込む

フォルダから取り込む

ファイル ▸ フォルダを追加…(⌘O)で、RAW や写真の入ったフォルダを登録するだけです。写真はコピーされず、元の保存場所のまま参照されます。

SD カードなどから取り込む(コピーして登録)

カメラのメモリーカードから写真を読み出し、ライブラリの保存先へコピーして取り込みます。

  1. カードを Mac に挿入します。サイドバー下部に「取り込み」項目が表示されます。または、ファイル ▸ カードから取り込む…(⇧⌘I)を選択します。
  2. 取り込み設定シートで各項目を設定します。
項目 内容
取り込み元 カード(DCIM フォルダのあるボリューム)を選択します。「フォルダを選択…」で任意のフォルダを手動指定することも可能です。写真の枚数と合計サイズの目安が表示されます。取り出しボタン(⏏)でカードを安全に取り出せます
読み込み先 コピー先の基準フォルダ。この配下に 年 / 日付 のサブフォルダが自動作成されて保存されます
アルバムに追加 取り込んだ写真を自動追加するアルバム(任意)
現像プリセット 取り込んだ写真に自動適用する現像プリセット(初回は同梱の「Focal Default」が選択されています。以後は前回の選択を記憶します。適用したくないときは「なし」を選択してください。詳しくは後述の「現像のプリセット」を参照)
タグ 取り込んだ写真に付与するタグ(任意。旅行/北海道, 2026 のようにカンマで区切って複数入力可能)
コピーを検証する コピーした各ファイルを読み直し、BLAKE3 ハッシュによって元ファイルと完全に一致するか確かめます(既定でオン)
  1. 下の一覧で、取り込む写真をチェックで選びます(初期状態は、取り込み済みでない写真がすべてチェックされています)。
  2. 取り込み をクリックします。

カードから取り込むシート

取り込む写真を選ぶ

シートの下半分に、カードの写真がサムネイルの一覧(撮影日時の古い順)で表示されます。

ファイルの保存構造

<読み込み先>/2026/2026-10-02/DSC00001.ARW
                              DSC00001.JPG     ← 同名の JPEG やサイドカーも一緒にコピー

取り込みが終わったあとの表示。「取り込んだ写真を表示」で取り込んだ写真だけの一覧を開く

コピー先(読み込み先)は、設定の「カタログ」タブ、またはフォルダを右クリック ▸「読み込み先にする」であらかじめ設定できます。


4. 写真を整理する

グリッド(一覧)

評価(★)とフラグ

操作 キー
★ を設定(0 で解除) 0〜5
ピック P
リジェクト X
フラグを解除 U

写真メニューやインスペクタからも設定できます。複数の写真を選択して一括で設定することも可能です。

タグ

インスペクタの「タグ」入力欄に、旅行/北海道 のようにスラッシュ(/)で区切って入力すると、階層構造のタグとして登録されます。1 枚の写真に複数のタグを付与できます。付与したタグを削除するには、インスペクタ内のタグにある「×」をクリックします。

絞り込み

ツールバーの「絞り込み」ボタン(⌥⌘F)で、画面上部に絞り込みバーを展開します。

条件 内容
評価 指定した ★ の数以上
フラグ ピック/リジェクト以外/フラグなし/リジェクト
撮影日 期間指定(開始日〜終了日)
フォルダ 登録フォルダ階層から選択(サブフォルダを含む)
タグ タグ階層から選択(子タグを含む)

指定した条件は、サイドバーで現在選択しているコレクション(フォルダやアルバム)に対して重ねて適用されます。バーを閉じている状態でも、絞り込み(★・フラグ・タグ・撮影日)が適用されている間は、ツールバーに現在の条件の要約と解除ボタンが表示されます。なお、選択中のフォルダは条件要約欄には出ず、ウィンドウ上部のサブタイトル(「カタログ名・ルート › サブフォルダ・枚数」)に表示されます。解除ボタンをクリックしても、現在表示しているフォルダやアルバムの選択は維持され、絞り込み条件のみがクリアされます。

絞り込みバー。★3 以上に絞り込んだところ

アルバム

アルバムは、ユーザーが手動で集めて分類した写真のコレクションです。1 枚の写真を複数のアルバムに所属させることも可能です。アルバムを削除しても写真ファイル自体が削除されることはありません。

メニュー 内容
名前の変更… アルバムの名前を変更します
移動先 別のフォルダ内、または最上位階層へ移動します
上へ移動/下へ移動 同一階層内での並び順を入れ替えます
アルバムを削除… アルバムを削除します(写真は削除されません)

サイドバーのアルバム。フォルダ「Trips」の中にアルバム「Hokkaido」とスマートアルバム「Favorites」(歯車のアイコン)

先頭の写真がカバーとして行に出る(「Family」の行)。上下の順番は右クリックで入れ替えられる

フォルダ(アルバムの入れ物)

複数のアルバムをフォルダにまとめて整理できます(階層化・入れ子構造に対応)。

スマートアルバム

スマートアルバムは、「評価が ★4 以上で、特定のフォルダにある写真」のように検索条件を保存したアルバムです。条件に合致する写真が自動的に抽出・収集されます。

項目 指定できる内容
評価 ★ の数(以上/以下/一致)
フラグ ピック/リジェクト/フラグなし(である/でない)
タグ 指定したタグ(子孫タグを含む)を持つ/持たない
アルバム 指定したアルバム(フォルダの場合は内包するアルバムを含む)に含まれる/含まれない
フォルダ 指定したフォルダ(サブフォルダを含む)にある/ない
カメラ / レンズ / ファイル名 指定した文字列を含む/含まない
ISO / 焦点距離 / 絞り 数値(以上/以下/一致)
撮影日 指定日以降/指定日以前/期間内

例: 「アルバム『旅行』に含まれ、かつ ★4 以上」「タグ 風景 を持ち、リジェクトされていない写真」など。

スマートアルバムの作成。条件の行を足して、「すべて/いずれか」で結ぶ

最近の取り込み

サイドバーの「最近の取り込み」には、最後に写真を追加した取り込み処理によって増えた写真が表示されます。写真を 1 枚も追加しなかった再スキャンでは内容は更新されません。


5. 現像する

現像画面に切り替えるには、写真を選択して V キー(または ⌘2、ダブルクリック、Return キー)を押します。もう一度 V または Esc キーを押すと一覧画面に戻ります。

表示

現像の画面。右のインスペクタにヒストグラムとスライダー、下にフィルムストリップ

現像の操作

インスペクタ内の各セクション(ホワイトバランス・ライト・カラー・ディテール・レンズ補正)は、見出しをクリックすることで個別に開閉できます(開閉状態は自動保存されます)。

スライダーの使い方

ホワイトバランス

項目 範囲 内容
撮影時の設定 / カスタム 撮影時の設定(既定値)か、任意の色温度・色かぶり指定か
色温度 約 2,000〜50,000 K 低いと寒色(青寄り)、高いと暖色(黄寄り)
色かぶり -150〜+150 マイナスでグリーン寄り、プラスでマゼンタ寄り

「撮影時の設定」の状態で色温度や色かぶりのスライダーを操作すると、撮影時の数値を起点として自動的に「カスタム」へと切り替わります(1 回の Undo で元に戻せます)。色温度や色かぶりのラベルをダブルクリックすると「撮影時の設定」に戻ります。

ライト

項目 範囲 内容
露出 -5.0〜+5.0 EV 画像全体の露出(明るさ)
コントラスト -100〜+100 明部と暗部のコントラストの強さ
ハイライト -100〜+100 明るい領域の階調補正(白飛びの抑制や復元)
シャドウ -100〜+100 暗い領域の階調補正(黒つぶれの緩和や引き締め)
白レベル -100〜+100 ハイライト端(最明部)の階調の割り当て
黒レベル -100〜+100 シャドウ端(最暗部)の階調の割り当て
明るさ -100〜+100 白レベル・黒レベルの端点を保ちながら中間調の明るさを調整

カラー

項目 範囲 内容
彩度 -100〜+100 画像全体の色の鮮やかさ(均一な強弱付け)
自然な彩度 -100〜+100 彩度の低い色を優先的に補正し、肌色などの過飽和を防止

ディテール

項目 範囲 内容
明瞭度 -200〜+200 中間調のエッジコントラスト(立体感や質感の強調・ソフト化)
シャープネス 0〜150 ディテールの輪郭強調
輝度ノイズ 0〜100 明暗のざらつき(輝度ノイズ)の低減
カラーノイズ 0〜100 色のにじみ・色斑(カラーノイズ)の低減

レンズ補正(macOS)

レンズの癖を、Lensfun のレンズデータで補正します。区分を開き、「レンズ補正を使う」をオンにします(初期値はオフで、オフのうちは何も変わりません)。

項目 範囲 内容
レンズ 自動 / 手動 写真の EXIF のレンズ名から自動で選びます。合うレンズがなければ「自動: 合うレンズが見つかりません」と出るので、「選ぶ…」で検索して選びます(選んだレンズは写真ごとに保存されます。「自動」で戻せます)
歪曲収差 0〜100 樽型・糸巻き型・陣笠型のゆがみの補正。補正で四隅に空白ができないよう、自動で少し拡大します
倍率色収差 0〜100 画像の周辺に出る、赤と青の色のにじみの補正
周辺減光 0〜100 四隅が暗くなる現象の補正
射影 レンズのまま / 通常 / 魚眼 など 魚眼レンズの写真を通常の(直線が直線になる)射影にする、といった変換。歪曲収差の量が 0 のときは変換しません

シャープネスとノイズ低減の効果は、100% 表示時および書き出しファイルにおいて正確に確認できます。フィット表示では画面サイズへの縮小処理が入るため、微細な変化が視認しにくい場合があります。

露出(+0.80 EV)とシャドウ(+30)を動かした状態。スライダーの横に値が出る

現像のプリセット

ホワイトバランス・ライト・カラー・ディテールの調整パラメータに名前を付けて保存し、他の写真へ一括適用できます。切り取り・回転・傾き補正などのジオメトリ設定は含まれません(構図は写真ごとに固有であるため)。

現像パラメータを複数の写真に同期する

現像画面で複数の写真を選んでスライダーを動かすと、動かした項目だけを選択中の他の写真にも同じ値で反映できます(Lightroom Classic の Auto Sync と同じ考え方です)。

  1. 現像画面のフィルムストリップで、基準にする写真を開いたまま、⌘クリック(1 枚ずつ)または ⇧クリック(範囲)で他の写真を選びます。開いている写真は変わりません。
  2. インスペクタ上部(ヒストグラムの下)に出る 現像パラメータの同期 のスイッチをオンにします。「他の n 枚と同期中」と表示されます。
  3. 開いている写真のスライダーを動かします。操作を終えた時点(ドラッグを離したとき、数値を入力したとき、リセットしたとき)で、動かした項目だけが他の写真に反映されます。ドラッグ中は開いている写真だけが再描画されます。

切り取り・回転・傾き補正

C キーを押すか、インスペクタ上部の「切り取り」ボタンをクリックすると、切り取りモードに入ります。

切り取りモード。三分割線の枠、上のバーに縦横比・傾き補正・水平線ツール・完了/キャンセル

取り消し・やり直し

編集の保存

現像設定の変更は、操作後にバックグラウンドで自動的にカタログへ保存されます(手動で保存操作を行う必要はありません)。写真を閉じる際やアプリを終了する際にも確実に保存されます。元の RAW ファイルが変更されることは一切ありません。

現像設定を変更した写真は、一覧画面(グリッド)のサムネイルにもその結果が自動反映されます。


6. 書き出す

現像した写真を、JPEG や TIFF の画像ファイルとして書き出します。

  1. 書き出す写真を選択します(複数選択可能。何も選択していない場合は現在表示中の写真 1 枚が対象になります)。
  2. ツールバーの「書き出し」ボタン、またはファイル ▸ 書き出し…(⇧⌘E)を選択します。
  3. 書き出し設定シートで各項目を指定し、「書き出す」をクリックします。
項目 内容
形式 JPEG(sRGB、8-bit)/ TIFF 16-bit(sRGB)
品質(JPEG) 50〜100(既定値 92)
サイズを変更 オンにすると、長辺を指定したピクセル数に高品質リサイズ(Lanczos3)して書き出します。オフなら原寸大
保存先 書き出し先のフォルダ(次回も記憶されます)

書き出しの設定シート


7. 写真を削除する

【注意】この操作は、ディスク上の写真ファイルを実際に削除します。 誤操作による予期せぬ消失を防ぐため、通常の操作では実行できない安全なショートカットとメニュー構成になっています。

削除の方法

選択した写真を削除するには、以下のいずれかの操作を行います。

Delete キー単体や、⌘ + Delete、⌥ + Delete では削除されません。

いずれの方法でも、必ず確認ダイアログが表示されます。削除対象の内容と枚数を確認した上で、赤い確認ボタンをクリックしてください。

削除の確認ダイアログ。何が消えるか、ゴミ箱に入ることが書かれている

⌥⌃ を押しながら開いた写真メニュー。「ゴミ箱に移動…」が選べる

何が消えるか

ゴミ箱に入るもの・入らないもの

写真の保存場所 動作
この Mac のローカルディスク ゴミ箱に移動します(Finder のゴミ箱から元に戻せます。元に戻したファイルは、Focal で再スキャンすれば写真として再登録されますが、★・タグ・現像設定などのメタデータは復元されません)
ネットワークボリューム(NAS) ネットワーク共有ではゴミ箱機能が利用できないことが多いため、即座に完全削除されます。確認ダイアログに「ゴミ箱から戻せない」旨と対象枚数が明示されます

削除に失敗したとき

権限不足などでファイルを削除できなかった写真については、ファイルもカタログデータもそのまま残し、エラー結果を通知します。RAW ファイルは削除できたものの同名 JPEG の削除に失敗した場合は、カタログからは写真が削除され、削除に失敗した実ファイルの情報が通知されます。

アルバムから写真を除外するだけにしたい場合は、削除ではなく、写真メニュー ▸「アルバムから外す」を使用してください(実ファイルは削除されません)。


8. キーボードショートカット一覧

写真の操作

キー 動作
← → ↑ ↓ 写真の選択移動
V 一覧 ⇄ 現像の切り替え
Return、ダブルクリック 現像画面に入る
0〜5 ★ 評価の設定(0 で解除)
P / X / U ピック / リジェクト / フラグ解除
⌥⌃⇧ Delete 選択した写真をディスクから削除(確認ダイアログあり)

現像

キー 動作
Z フィット ⇄ 100% 表示の切り替え
C 切り取りモードの開始/確定
Esc 切り取りの取り消し/一覧画面に戻る
[ / ] 反時計回り/時計回りに 90° 回転
⌘Z / ⌘⇧Z 取り消し(Undo) / やり直し(Redo)

メニュー

キー 動作
⌘O フォルダを追加
⌥⌘O カタログを開く
⇧⌘N 新規アルバム
⌥⌘N 新規スマートアルバム
⇧⌘I カードから取り込む
⇧⌘R すべてのフォルダを再スキャン
⇧⌘E 書き出し
⌘1 / ⌘2 一覧 / 現像
⌥⌘F 絞り込みバーの表示 / 非表示
⌥⌘B フィルムストリップの表示 / 非表示
⌥⌘I インスペクタの表示 / 非表示
⌘, 設定

タグ名などのテキスト入力中は、文字入力を優先するため P や X などの単キーショートカットは無効になります。


9. 設定

アプリメニュー ▸ 設定…(⌘,)。3 つのタブで構成されています。

タブ 項目 内容
一般 外観 ダーク(既定値)/ライト/システムに合わせる
表示の処理 現像表示のレンダリングを GPU(Metal)で行うか CPU で行うかのステータス表示(書き出し処理は常に CPU)
カタログ カタログ情報 開いているカタログの名前・保存場所・ファイルサイズ・写真枚数など
取り込み Focal 起動時にフォルダを再スキャンする(オン/オフ)、読み込み先(カード取り込み時の保存先フォルダ)。いずれも開いているカタログに保存される設定です(他のカタログには影響せず、カタログと一緒に持ち運べます)
バックアップ バックアップの頻度・終了時の確認・残す世代数・保存先・今すぐバックアップ(詳細は「カタログ情報・バックアップ・最適化」を参照)
最適化 カタログから外したフォルダの保管情報の消去とデータベースの圧縮
キャッシュ プレビューキャッシュ 最大サイズ(500 MB・1 GB・2 GB・5 GB・10 GB・20 GB)、現在の使用量、キャッシュを削除、保存先パス
サムネイルキャッシュ 保存先パス

「カタログ」タブ内の設定内容は、現在開いているカタログに個別に保存されます。

ヘルプメニューの「サードパーティのライセンス」から、アプリに同梱されている各種オープンソースライブラリのライセンス条項を確認できます。


10. 機能一覧・制限事項

できること

分類 機能
ライブラリ フォルダの登録(参照方式。RAW に加えて JPEG・TIFF・PNG、macOS では HEIF も対応。RAW と同名の JPEG は 1 枚として統合管理)、再スキャン、ボリューム(外付けドライブ・NAS)の追従とオフライン表示、グリッド表示、カタログの新規作成・切り替え
取り込み SD カードなどから日付フォルダ(年 / 日付)へコピー(ハッシュ検証・重複スキップ・空き容量事前確認付き)
整理 ★0〜5 の評価、ピック/リジェクトのフラグ、階層タグ、絞り込み(評価・フラグ・撮影日・フォルダ・タグ)、アルバム(複数アルバムへの所属、フォルダによる入れ子階層化)、スマートアルバム、最近の取り込み
現像 露出、コントラスト、ハイライト、シャドウ、白レベル、黒レベル、明るさ、ホワイトバランス(色温度・色かぶり)、彩度、自然な彩度、明瞭度、シャープネス、ノイズ低減(輝度・カラー)、プリセットの保存と一括適用
レンズ補正 歪曲収差・倍率色収差・周辺減光の補正、射影の変換(Lensfun のレンズデータ。macOS。利用者がレンズデータを足せる)
ジオメトリ 切り取り(縦横比の固定可能)、90° 回転、傾き補正(±45°)、水平線ツール
表示 フィット/100% 表示の切り替え、ヒストグラム、フィルムストリップ
編集 取り消し/やり直し(直近 20 枚分、アプリ起動中のみ有効)、非破壊編集(元ファイルには一切書き込まない)
書き出し JPEG(sRGB、8-bit)、TIFF 16-bit(sRGB)、長辺リサイズ指定、複数枚の一括書き出し、上書きしない安全な連番命名、EXIF 撮影情報の保持
削除 ⌥⌃⇧ Delete によるディスクからの安全な削除(確認ダイアログ付き。ローカルはゴミ箱へ移動、NAS は完全削除)
その他 日本語・英語の多言語表示対応、ダーク/ライト外観モードの切り替え

まだできないこと(この版)


11. 困ったときは

写真が「ファイルなし」と表示される 写真の元ファイルが見つかりません。Focal の外部でファイルを移動・削除した場合は、元の場所に戻すか、フォルダの「再スキャン」を実行してください(同一ボリューム内の別フォルダへ移動したファイルは、ファイル名・サイズ・撮影日時が同一であれば自動で再リンクされます)。外付けドライブや NAS が外れている場合は、「ファイルなし」ではなくサイドバー上でグレーのオフライン表示になります。ドライブを再接続すれば自動的に復旧します。

外付けドライブや NAS のフォルダがグレー表示になる ドライブやネットワーク共有が切断されています。ケーブルの接続やネットワーク状態を確認して再接続してください。通常は数秒で自動的に復旧します。自動で戻らない場合は、サイドバーのフォルダを右クリックして「再スキャン」を実行してください。

カードを挿入してもサイドバーに「取り込み」が表示されない メモリーカード内に DCIM フォルダが存在しない場合は自動検出されません。メニューバーのファイル ▸ カードから取り込む…(⇧⌘I)を開き、「フォルダを選択…」からカードやその中のフォルダを手動で指定してください。

取り込み時に写真が「取り込み済み」としてスキップされる ファイル名・サイズ・撮影日時が一致する同一の写真が、すでにカタログまたはコピー先に存在します。意図的に再度取り込みを行いたい場合は、あらかじめ既存の写真をカタログから削除してください。

現像結果の見た目が、他の RAW 現像ソフトと少し異なって見える Focal は、独自の高品質な RAW 現像パイプラインを採用しています。そのため、カメラ内 JPEG や他社製現像ソフトの「撮影時の設定」とは、色再現や階調特性が完全に一致しない場合があります。

書き出したファイルを、外部のソフトで撮影日時順に並べたい 書き出された JPEG や TIFF ファイルの EXIF メタデータには、元の撮影日時が記録されています。外部ソフトの並べ替え設定で「撮影日時」(EXIF の日付)を選択してください。「変更日」「作成日」で並べ替えると、書き出しを実行した日時の順序になります。

カタログを新しいバージョンで開いた後、古いバージョンで開けなくなった アプリのアップデートによりカタログの内部スキーマが新しくなったためです。古いバージョンの Focal に戻す必要がある場合は、カタログパッケージ内にあるアップデート前の自動バックアップファイル(catalog.sqlite.v〜.bak)を利用して復元してください。

写真を誤って削除してしまった Mac の内蔵ディスクやローカル外付けドライブにあった写真は、macOS の「ゴミ箱」に移動しています。Finder のゴミ箱から元の場所に戻した上で、Focal でフォルダの「再スキャン」を実行してください(★・タグ・現像設定などのメタデータは復元されません)。なお、ネットワークボリューム(NAS)上の写真はゴミ箱を経由せず完全に削除されるため、復元することはできません。


画面の写真は、動作確認用の公開サンプル(raw.pixls.us、CC0)です。

本ガイドは Focal の設計書(design.md)と実装に基づいて記述しています。操作や画面の表記が実際の動作と異なる場合は、Issue にてお知らせください。